サイバーポッドとメタモルポット 【デッキ破壊】の襲来

2018年1月4日

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【前書き】

 【第2期の歴史7 リクルーターの誕生と巨大化の影 扱いにくすぎるトゥーンモンスター】の続きになります。特に、この記事では前後編の後編の話題を取り扱っています。ご注意ください。

 

【デッキ破壊の復活】

 「サイバーポッド」のテキストは以下の通りです。

・リバース:フィールド上のモンスターを全て破壊する。お互いデッキを一番上から5枚めくり、その中のレベル4以下のモンスターカードすべてを任意の表示形式でフィールド上に出す。

 リバース時に「ブラック・ホール」と同様の全体除去、その後お互いにデッキトップ5枚から下級モンスターを可能な限り特殊召喚する効果を持っています。そして、ここが一番の問題点となりますが、なんと残りのカードは「全て手札に加える」裁定となっています。

 効果の発動に成功しさえすれば、確実に5枚分のアドバンテージが約束されるという、いっそ狂気的とすら言えるとんでもないカードです。

 これ単体であっても禁止級のカードパワーを持っていることは明らかですが、このカードの真価は他のカードと組んだ時にこそ発揮されます。その大味かつ凶悪な効果から様々なコンボに悪用されていき、やがては先攻ワンキルデッキのキーカードとして悪名を轟かせることになります。

 しかしながら、上記の通りこの時期のテキストには不備があり、めくった後のカードをどのように扱うかが明記されていませんでした。そのため、「血の代償」の時と同じく、地域単位で効果の解釈が分かれてしまうという事態に陥ってしまいます。

 実際、私の周囲では「常識的に考えてデッキに戻すのが自然」と判断され、そのようなローカルルールが浸透していたと記憶しています。むしろ、どちらかというと手札に加える方が不自然であるように思えるのですが……。

 プレイヤーの常識を公式が打ち砕いた瞬間です。

 では仮に正しい解釈をしていた場合、このカードの誕生は環境にどのような影響を与えていたのでしょうか?

 その答えが【デッキ破壊】の台頭でした。

ポッドとポットのデッキデス

 【デッキ破壊】とは通常のビートダウンデッキとは異なり、相手のデッキ切れによる勝利を狙うコンセプトデッキです。第1期中はルールの不整備から戦術が成立せず、新エキスパートルール導入後にようやく開発が進んでいった形となります。

 とはいえ、当初はコンセプトも定まり切っておらず、また全体的にデッキパーツが高価なカードで占められていたこともあり、あくまでもカジュアルデッキの一つという立場に置かれていました。

 しかし、この時に「サイバーポッド」という有力なパーツを得たことにより、事態が急転します。

 【デッキ破壊】の視点で見た場合、「サイバーポッド」は「デッキを5枚削りつつリソースを回復するカード」です。これは攻め手を進めつつ次の攻め手を確保できるということであり、デッキコンセプトと非常に強く噛み合っています。

 相手にアドバンテージを与えてしまう問題についても、【デッキ破壊】の戦術に特化する関係上ある程度は無視できます。戦いの軸をずらすことで相手のアタッカーや除去を死に札としてしまうなど、フェアデッキにはない利点がここでも作用する形となりました。

 デッキコンセプトの根幹を成すのは、それぞれ3枚フルに積まれた「サイバーポッド」と「メタモルポット」、そしてデッキ枚数差をつけるための「ニードルワーム」です。それらは全て「クリッター(エラッタ前)」「黒き森のウィッチ(エラッタ前)」でサーチでき、そのサーチャーもリクルーターである「キラー・トマト」によって呼び出せます。

 こうしたことから、当時の【デッキ破壊】は第2期のデッキとは思えないほど安定しており、コンセプトデッキであるにもかかわらず事故の問題とは無縁のデッキとなっていました。

無限蘇生 ダークファミリア

 また、「サイバーポッド」以外の新規パーツとして、「ダークファミリア」の存在も無視できません。

・リバース:このカードが墓地へ送られた時、自分と相手は墓地からモンスター1体を選びフィールド上にプレイする。

 リバース後に墓地へ送られた時、お互いに自分の墓地から任意のモンスターを釣り上げる効果を持っています。ただし、「死者蘇生」などとは異なり、裏側表示でセットすることが可能となっているのがポイントです。

 つまり、墓地に落ちたリバースモンスターを再利用できるため、このカードもまた【デッキ破壊】の土台を支えた重要な存在であると言えるでしょう。

 しかしながら、例によってこのカードもテキストに不備を抱えており、「プレイ」という単語が具体的に何を指すのか不明瞭となっていました。テキストだけでは「召喚とは違う何か」としか判断できず、「サイバーポッド」と同様にプレイヤーの間で解釈が揺れていたカードです。

 例えば、「ダークファミリア」が2体揃っている場合、交互に蘇生を行うことで無限に復活を繰り返すことは可能でしょうか?

 結論を先に申しますと「可能」です。しかし、当時は正解を確認する手段がなく、「そんなことができるわけがない」という常識派、「カードに書いてあるから問題ない」という遊戯王派に分かれ、しばしば争論の種となっていました。

 そもそも、裏側表示で蘇生できるかどうかという点ですら解釈が割れている状況であり、結論の導きようがありません。事前の取り決めなくゲームで使用された場合、まず確実に揉め事へと繋がってしまっていました。

 こうした騒動の末に、その内プレイヤーも面倒になったのか、当時は暗黙の了解で使用を自重されていたと記憶しています。

軽すぎるライフコスト 平和の使者

 直接デッキコンセプトに関わるパーツではありませんでしたが、【デッキ破壊】と相性の良いカードとして「平和の使者」という永続魔法もこの時に誕生しています。

・自分のスタンバイフェイズごとに100ライフポイントを払う。表側表示の攻撃力1500以上のモンスターは攻撃できない。

 「光の護封剣」と同型の攻撃抑制カードであり、ロック系カードでは最高峰の評価を持つ優秀なカードです。攻撃力1500以上のモンスターの攻撃を永続的に封じることができ、維持コストも毎ターン100と非常に軽く設定されています。

 遊戯王OCGにおいて極めて長期に渡って存在感を示し続けたことから、このカードの「鬱陶しさ」が印象に残っているという方も少なくないのではないでしょうか。

 誕生以降、あらゆるコントロールデッキで活躍していくことになるカードではありますが、その初仕事は【デッキ破壊】において務める形となっていました。

 

【当時の環境 2000年7月13日】

 【デッキ破壊】の参入により、【ハンデス三種の神器】1強となっていた当時の環境に大きな波紋が広がりました。

 得意のハンデスも「サイバーポッド」「メタモルポット」の2枚看板が生み出す莫大なアドバンテージの前には十分な効力を発揮し切れず、有効打は先攻ハンデスの直撃を残すのみとなります。

 必然的に【グッドスタッフ】はリバースモンスターへの対策を迫られる形となり、デッキの構造を見直す機会を与えられました。「光の護封剣」などの防御カード対策の「サイクロン」を始めとして、手札コストの重さから一線を引いていた「死者への手向け」が再び環境に浮上するなど、カード選択に様々な変化が起こっています。

 更には、あえてデッキ枚数を40枚以上に増やすことで生存ターンを引き延ばすといった、セオリーから外れた作戦も取られるようになります。マスタールールに移行するまではデッキ枚数の上限が設定されていなかったため、理屈の上では100枚以上のデッキを組むことも可能となっており、プレイヤーは最適なデッキ枚数を求めて頭を悩ませました。

 逆説的に、こうした適切な対処法を講じることさえできれば、【デッキ破壊】と対等に戦うことは十分現実的な話となっていました。当時の【デッキ破壊】が強力なデッキであることは間違いありませんでしたが、ゲームバランスが崩壊するとまでは行かず、一般的なトップメタの範疇に収まっています。

 分類上はコンボよりのコントロールデッキである以上、実際のキルターンはそれほど早くなかったのではないでしょうか。

 ただし、上記の通り「サイバーポッド」「ダークファミリア」は効果の誤解釈が各地で起こっており、一部の地域ではこれらの必須パーツが軒並み未発見の状況となっていました。少なくとも私の周囲では【デッキ破壊】は全く流行しておらず、依然としてカジュアルデッキに近い立ち位置にあったと記憶しています。

 そのため、大変恐縮ではございますが、上記の環境の推移は全て私個人の推測となっております。実際の状況につきましては記事にするのが難しくなってしまいますことを、どうかご理解のほどをお願い申し上げます。

 

【プレイヤー泣かせのゲーム同梱カード】

 補足として、同日に誕生したゲーム同梱カードに関する話を致します。

 2000年7月13日、「遊戯王デュエルモンスターズⅢ 三聖戦神降臨」というゲームソフトが販売されました。収録内容は全8種となっており、その内の3枚がランダムに封入されていました。

 また、これに加えて予約特典カード、初回限定特典カードが1枚ずつ存在するなど、やはりプレイヤーにとっては非常に厳しい仕様となっています。ただし、攻略本に関しては固定収録となっており、上記と比較して集めやすいカードではありました。

 そして幸か不幸か、このゲーム同梱カードの中にも強力なカードが紛れ込んでいます。

汎用攻撃反応罠 万能地雷グレイモヤ

 1枚目は「万能地雷グレイモヤ」です。

・相手がモンスターで攻撃した時、相手の攻撃表示モンスターの中から一番攻撃力の高いモンスター1体を破壊する事ができる。

 相手モンスターの攻撃宣言時、攻撃表示モンスターの中で一番攻撃力の高いモンスターを破壊する効果を持っています。当時の除去カードとしては非常に使い勝手が良く、安定して1:1交換を狙うことができる優秀なカードです。

 上位互換の「聖なるバリア -ミラーフォース-」も制限カードに指定されており、ライバルも現れていなかったことから、貴重な攻撃反応罠カードとして活躍していくことになります。

無限のアド キラー・スネーク

 問題は2枚目の「キラー・スネーク(エラッタ前)」です。

・自分のスタンバイフェイズに「キラー・スネーク」が墓地に存在している場合、「キラー・スネーク」を手札に戻すことができる。

 これが墓地にある場合、毎ターン自身をサルベージする効果を持っています。この時のものはエラッタ前の効果となっており、現在の弱体化した「キラー・スネーク」とは比較にならない利便性と悪用しやすさを誇っていました。

 単体では無限に再利用できる壁程度にしかなりませんが、他のカードと組み合わせることで強いシナジーを発揮します。

 分かりやすいところでは継続的に利用できる手札コストとして、または使い減りしない生け贄要因、あるいは「天使の施し」などで別のカードに変換するなど、多方面に渡って活躍するカードです。

 特に、「苦渋の選択」とは最高の相性を誇っており、これで一気に墓地へ送って毎ターン3枚分のハンド・アドバンテージを確保するコンボは、とても第2期発祥のものとは思えないほど莫大なリソースをもたらします。

 しかしながら、当時のカードプールではそのアドバンテージを効率的に捌いていくことが難しく、手札に大量の「キラー・スネーク(エラッタ前)」を抱えたままゲームを落としてしまうケースも少なくありませんでした。

 ……が、頭の良い人というのはどこにでも居るもので、このギミックを最大限活用するために開発された【キャノンバーン】が当時の世界大会を制しています。

 そんな「キラー・スネーク(エラッタ前)」ではありますが……私が居たところでは当初は雑多売りにされていたと記憶しています。当時のショップには「キラカード何枚セット何百円」といった、いわゆるセール価格の販売ゾーンが用意されていたのですが、どういうわけかそこに紛れ込んでいました。

 流石に在庫数は多くはなかったと思いますが、気付けば置いてあったという印象です。しかも一度きりではなく、一定期間中は毎回そこに補充されているという状況となっていました。

 しばらくするとショーケースの方へと移ってしまいましたが、それまでは来店の度にセール品の内容をチェックしていました。こういった美味しいシチュエーションもまた、店頭販売ではしばしば遭遇しうるボーナスタイムと言えるのかもしれません。

 

【まとめ】

 2000年7月13日当時に起こった出来事については以上です。

 レギュラーパックに加え、ゲーム同梱カードからも優秀なカードが多数現れ、環境が大きく揺れ動いた形となります。

 しかし、不明瞭なテキストによって効果の誤解釈が生まれてしまうなど、いくつかの問題も発生しています。また、環境においても依然ハンデスが猛威を振るっていたことも事実ではあり、プレイヤーの間では早急な問題解決が望まれていました。

 その祈りが届いたのか、この2日後、遂に状況が動きます。

 ここまで目を通していただき、ありがとうございます。

 

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