苦渋エクゾディアの襲来

2018年1月16日

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【前書き】

 【第2期の歴史15 カオスポッドと抹殺の使徒】の続きになります。特に、この記事では前中後編の後編の話題を取り扱っています。ご注意ください。

 

【エクゾディアの再臨】

 【グッドスタッフ】と【デッキ破壊】の戦いに足を踏み入れてきた第3勢力の正体。それは第1期で猛威を振るった【エクゾディア】でした。

 その復権のきっかけは、ある1枚の罠カードによってもたらされています。

大量サルベージカード 補充要員

・自分の墓地にモンスターカードが5枚以上存在する時に発動してもよい。自分の墓地から効果モンスター以外の攻撃力1500以下のモンスターカードを3枚まで手札に加えてもよい。

 上記は「補充要員」という罠カードのテキストです。墓地から攻撃力1500以下のバニラモンスターを3体までサルベージする効果を持っています。

 カードの発動条件として「自分の墓地にモンスターが5体以上存在すること」を要求されますが、これを使いたい状況では自然と満たしているはずの条件です。クリアすることはそれほど難しくありません。

 単純に性能を見た場合、ハンド・アドバンテージを一気に稼げる点がこのカードの魅力となるでしょう。

 低ステータスのバニラしかサルベージできない関係上、ビートダウン用の戦力としては期待できませんが、手札コストなどに利用する場合はデメリットになりません。流石に普通のデッキに入るカードではないものの、様々なポテンシャルを秘めている1枚です。

 この時代においては、墓地に落としたエクゾディアパーツを纏めて回収するカードとしての役割を見出されました。

 エクゾディアパーツは胴体を除き、全てが低ステータスの通常モンスターとなっています。「補充要員」のサルベージ条件も当然満たしており、墓地にパーツが揃っていれば一気にエクゾディア完成へと近付くことが可能です。

 もちろん、その「墓地にエクゾディアパーツを揃える」ことが一番難しいのですが、当時はそれを簡単に達成できるカードが存在していました。

最凶の墓地肥やし 苦渋の選択

・デッキからカードを5枚選んで相手に見せる。相手はその中から1枚を選ぶ。それを手札に入れ、残りは墓地に捨てる。

 2000年4月20日発売の、「Magic Ruler -魔法の支配者-」にて誕生したカードです。言わずと知れた遊戯王OCG最凶の禁止カードであり、カードプールの広がった現在においては理解を超越した強さへと至っています。

 しかし、当時はカードプールの狭さから真価を発揮しておらず、規制の対象になる気配も全くありませんでした。

 そんな折に現れたのが上記の「補充要員」です。

 任意のカードを墓地に落とせる「苦渋の選択」と、墓地のモンスターを回収できる「補充要員」はまさに最高の相性を持っていると言うほかありません。この2枚を組み合わせれば、事実上あらゆるバニラモンスターをサーチできることになるからです。

 では、このコンボを【エクゾディア】に組み込むと一体何が起こるのでしょうか?

 その答えこそが【苦渋エクゾディア】の誕生でした。

 

 【苦渋エクゾディア】はそのデッキ名の通り、「苦渋の選択」と「補充要員」のコンボを搭載した【エクゾディア】の派生デッキです。この2枚を組み合わせることで即死コンボ的にエクゾディアを完成させることができます。

 具体的なコンボの仕組みは専用記事にて解説していますが、必ずしも「補充要員」を素引きする必要はなく、苦渋の選択」1枚からデッキを動かすことが可能でした。コンボデッキにしては展開ルートが安定しており、事故の問題を回避しやすいのも大きな魅力の一つです。

 もちろん、コンボ一辺倒のデッキというわけではありません。同パックで「早すぎた埋葬」を始めとする多数の蘇生カードを獲得したことにより、「クリッター(エラッタ前)」などのサーチャーを何度も使い回すプランを取れるようになっています。

 手札破壊やデッキ破壊に対して耐性がついたことも見逃せないポイントです。これまでと違い、四肢パーツが墓地に落ちても問題とはならなくなったため、構造的な欠陥が大幅に改善される形となりました。

 とはいえ、胴体に関しては依然回収手段が存在しておらず、完全に問題が解決されたわけではありません。やはりこうした「コンセプトキル」を警戒しなければならないことに変わりはなく、ある程度プレイングを意識する必要がありました。

 また、「補充要員」が罠カードである関係上、「人造人間-サイコ・ショッカー」に対しても何らかの回答が要求されます。ただし、必ずしもコンボを成功させなければ勝利できないわけではないため、あえて対策を取らないケースも少なくありませんでした。

 総評としましては、この【苦渋エクゾディア】はメタゲームに影響するのに十分なデッキパワーを持っており、次第に当時の環境においても存在感を現していくことになります。

 

【当時の環境 2000年9月28日】

 【第2期の歴史14 サイコ・ショッカーと王宮の勅命】以降の前中後編の記事内容を総括した項目となっています。ご注意ください。

 「人造人間-サイコ・ショッカー」や「王宮の勅命(エラッタ前)」を始めとする、強力な新規カードを複数手に入れた【グッドスタッフ】が一気に力を伸ばしました。

 それと共に「カオスポッド」「浅すぎた墓穴」を得た【デッキ破壊】も地力が底上げされています。しかし「抹殺の使徒」や「停戦協定」というメタカードも同時に現れ、完全な追い風とはなっていません。大まかにはプラスマイナスゼロに近い状況で、相対的に【グッドスタッフ】との距離が縮まった格好です。

 また、第3勢力として上記の【苦渋エクゾディア】が環境に台頭してきています。上位陣のデッキにとっては寝耳に水の出来事で、この対策に追われていく形となりました。

 上記のデッキとは逆に、【キャノンバーン】はその勢力をやや縮小させています。

 「人造人間-サイコ・ショッカー」の影響により、罠カードに依存するデッキは常に構造的な不安を抱えることになりました。【キャノンバーン】は「血の代償」をメインギミックに据えている関係上、この直撃を避けられません。自動的にトップメタからは転落せざるを得なくなり、環境の一角にまで後退させられています。

 まとめると、【デッキ破壊】【グッドスタッフ】【苦渋エクゾディア】が三つ巴の争いを繰り広げる環境が訪れています。【キャノンバーン】は残念ながらその後ろを追いかける状況となり、難しい立ち位置に置かれていました。

 ファンデッキの動向としましては、多数の蘇生カードの誕生で【リアニメイト】が考案されています。蘇生カードを軸にするタイプの【グッドスタッフ】とはやや境界が曖昧ですが、苦渋の選択」や「青眼の白龍」が採用されている場合はこちらに分類するべきでしょうか。

 また、「早すぎた埋葬」の影響で【マハー・ヴァイロ】が僅かに活性化しています。「早すぎた埋葬」は装備カードでもあるため、この方法で蘇生した「マハー・ヴァイロ」の打点が2050になることがその理由です。

 取り立てて持ち上げるほどの恩恵はないとはいえ、「死者蘇生」に無料で打点補助がついてくるようなものであり、「おまけ」の一言で片付けるには惜しいメリットです。カードプールの増加という荒波に飲まれながらも、細く長く力を伸ばしていきます。

 全体的に環境、非環境ともに急激な変化が起こった時期であり、プレイヤー側もカードプールの理解にはやや時間をかける形となりました。

 

【まとめ】

 前記事、前々記事と合わせて、「Curse of Anubis -アヌビスの呪い-」販売によって起こった出来事は以上です。

 たった1パックの影響とは思えないほど大きな変化が訪れており、当時の【デッキ破壊】1強の環境に巨大な波紋が広がる格好となりました。【苦渋エクゾディア】【リアニメイト】など、複数の新デッキが考案された時期でもあり、デッキ選択の幅という面でも向上が見られます。

 遊戯王OCG全体で見た場合のデュエルシーンは多様化を迎え、それに伴ってカードゲームとしての評価も徐々に持ち上がっていきました。

 ここまで目を通していただき、ありがとうございます。

 

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