制限改訂2013年9月 【征竜魔導】環境の終わり

2019年11月15日

【前書き】

 【第8期の歴史19 【青眼】ストラクの悲劇 【征竜魔導】の養分に】の続きになります。ご注意ください。

 【青眼】ストラクの販売によって【青眼魔導】が新たに成立し、これ以降は【魔導】の主流型として浸透していくことになりました。【征竜魔導】環境における重大なターニングポイントとなった出来事であり、これがなければ2強の構図は続かなかったとする意見さえあるほどです。

 結局、その後も【征竜魔導】の2強環境が揺らぐ気配は全くなく、徹頭徹尾【征竜】と【魔導】の両雄が支配するメタゲームが組み上がってしまっていたことは否めません。一応、【ヴェルズ】などの中堅勢力が散発的に結果を残すことはありましたが、これも実質的には単なる使用者の分布に過ぎず、やはり明確にメタゲームを動かしていたとまでは言えない話です。

 事実上、【征竜魔導】に始まり【征竜魔導】に終わった暗黒の半年間でしたが、続く9月にて遂にその時代を終わらせる制限改訂が下されることになります。

 

制限改訂 2013年9月1日

 2013年9月1日、遊戯王OCGにおいて34回目となる制限改訂(※)が行われました。

(※今改訂より正式名称が「リミットレギュレーション」に変更され、さらに国内・海外で別の改訂リストが用いられるようになりました)

 禁止カードに指定されたカードは以下の62枚です。

炎征竜-バーナー 無制限
水征竜-ストリーム 無制限
地征竜-リアクタン 無制限
風征竜-ライトニング 無制限
魔導書の神判 無制限
イレカエル
ヴィクトリー・ドラゴン
混沌帝龍 -終焉の使者-(エラッタ前)
キラー・スネーク(エラッタ前)
クリッター(エラッタ前)
グローアップ・バルブ
黒き森のウィッチ(エラッタ前)
ゴヨウ・ガーディアン(エラッタ前)
混沌の黒魔術師(エラッタ前)
サイバーポッド
サウザンド・アイズ・サクリファイス
処刑人-マキュラ
聖なる魔術師
発条空母ゼンマイティ
ダーク・ダイブ・ボンバー(エラッタ前)
D-HERO ディスクガイ(エラッタ前)
デビル・フランケン
同族感染ウィルス
氷結界の龍 ブリューナク(エラッタ前)
ファイバーポッド
フィッシュボーグ-ガンナー
魔導サイエンティスト
メンタルマスター
八汰烏
レスキューキャット(エラッタ前)
悪夢の蜃気楼
いたずら好きな双子悪魔
王家の神殿(エラッタ前)
押収
苦渋の選択
強引な番兵
強奪
強欲な壺
心変わり
サンダー・ボルト
次元融合
生還の宝札
洗脳-ブレインコントロール(エラッタ前)
大寒波
蝶の短剣-エルマ
天使の施し
ハーピィの羽根帚
早すぎた埋葬
ハリケーン
マスドライバー
未来融合-フューチャー・フュージョン(エラッタ前)
突然変異
遺言状
王宮の弾圧
王宮の勅命(エラッタ前)
現世と冥界の逆転(エラッタ前)
死のデッキ破壊ウイルス(エラッタ前)
第六感
ダスト・シュート
刻の封印
破壊輪(エラッタ前)
ラストバトル!

 

 制限カードに指定されたカードは以下の61枚です。

A・ジェネクス・バードマン 無制限
ゼンマイシャーク 無制限
No.11 ビッグ・アイ 無制限
氷結界の龍 トリシューラ 禁止
水精鱗-ディニクアビス(エラッタ前) 無制限
立炎星-トウケイ 無制限
超再生能力 無制限
霞の谷の神風 無制限
アビスフィアー 無制限
イビリチュア・ガストクラーケ
甲虫装機 ダンセル
甲虫装機 ホーネット
E・HERO エアーマン
オネスト
カオス・ソルジャー -開闢の使者-
真六武衆-シエン
ゾンビキャリア
ダーク・アームド・ドラゴン
ダンディライオン
TG ストライカー
TG ハイパー・ライブラリアン
深淵の暗殺者
ネクロフェイス
封印されしエクゾディア
封印されし者の左足
封印されし者の左腕
封印されし者の右足
封印されし者の右腕
フォーミュラ・シンクロン
BF-疾風のゲイル
馬頭鬼
メタモルポット
レッドアイズ・ダークネスメタルドラゴン
ローンファイア・ブロッサム
異次元からの埋葬
一時休戦
インフェルニティガン
大嵐
おろかな埋葬
原初の種
死者蘇生
精神操作
増援
月の書
手札抹殺
貪欲な壺
光の援軍
ブラック・ホール
モンスターゲート
闇の誘惑
リミッター解除
六武の門
ワン・フォー・ワン
異次元からの帰還
神の警告
神の宣告
血の代償
停戦協定
転生の予言
光の護封壁
マジカル・エクスプロージョン

 

 準制限カードに指定されたカードは以下の26枚です。

カオス・ソーサラー 制限
剣闘獣ベストロウリィ 制限
N・グラン・モール 制限
冥府の使者ゴーズ 制限
炎舞-「天璣」 無制限
黒い旋風 制限
カードガンナー
召喚僧サモンプリースト
神秘の代行者 アース
大天使クリスティア
D-HERO ディアボリックガイ
デブリ・ドラゴン
トラゴエディア
氷結界の虎王ドゥローレン
魔界発現世行きデスガイド
ライオウ
輪廻天狗
レスキューラビット
王家の生け贄
召集の聖刻印
連鎖爆撃
ヒーローアライブ
魔法石の採掘
おジャマトリオ
激流葬
奈落の落とし穴

 

 無制限カードに緩和されたカードは以下の8枚です。

ゼンマイマジシャン 制限
月読命
E-エマージェンシーコール
高等儀式術
強欲で謙虚な壺
スケープ・ゴート 制限
名推理
聖なるバリア -ミラーフォース-

 

 以上が当時コナミから下された裁断となります。変動28枚、うち規制強化が14枚、規制緩和が14枚となっており、小規模改訂であった前回とは打って変わって変動の多い改訂です。

 また、一度に5枚もの禁止カードを輩出していること、加えて規制対象となったカードが全て無制限カードからの規制強化であったこと、おまけにその半数近くが直近半年以内に誕生したばかりのカードであったことなど、全てにおいて異様な空気に包まれた改訂であったことは疑いようもありません。

 

【征竜】への規制

 当時の暗黒期を築き上げたデッキの片割れである【征竜】に対し、非常に厳しい規制が入っています。

 メインエンジンであった4色の子征竜が一気に禁止カード指定を受けたことはもちろん、特に相性が良かった「超再生能力」や「No.11 ビッグ・アイ」までもが制限カード行きとなるなど、デッキの根幹を成していた複数の強みを同時に失ってしまった格好です。

 また、子征竜の禁止カード化は誕生から僅か半年での禁止カード入りとOCGの歴史上においても異例の出来事で、これまでの最速記録であった「ダーク・ダイブ・ボンバー(エラッタ前)」の記録を100日以上塗り替えています。このことが商業的な背景を度外視した緊急の措置であったことは疑いようもなく、それだけ【征竜】の存在が当時のOCG環境に致命的な影響をもたらしていたと言えるでしょう。

 一方、アーキタイプの中核に当たる親征竜に関しては全くの無傷であり、【征竜】そのものは依然として構築可能な状況が続いていました。とはいえ、それを踏まえても【征竜】にとってはかなりの大打撃であることも間違いなく、これまでと比較して大幅な弱体化を被ったことは否定できません。

 結論としては、【征竜】は前期環境における暗黒期指定クラスのデッキパワーは維持できなくなっており、これ以降はいわゆる1強レベルの勢力に落ち着くことになります。

 

【魔導】への規制

 【征竜】とともに暗黒時代を築いた【魔導】への規制として、「魔導書の神判」が一気に禁止カードに指定されています。

 実質「魔導書の神判」1枚で【征竜】と渡り合った「頭のおかしいぶっ壊れカード」であり、単体のカードパワーに限って言えば【征竜】以上の怪物です。誕生時期を考慮しても規制しない理由が全くなく、この瞬間をもって永久禁止カードの仲間入りを果たしました。

 その結果、【神判魔導】は2012年後期環境における【魔導書】時代の姿に振る舞いを改め、過去の健全なコントロールデッキとしてのコンセプトを取り戻すことに成功しています。

 しかし、環境のインフレに伴い【魔導書】自体が相対的に弱体化していた背景もあり、環境デッキとしてはほどなく自然衰退の道を辿ることになりました。

 

【炎星】への規制

 【征竜魔導】環境の到来以前のトップデッキであった【3軸炎星】に対して規制が入っています。

 型に寄らず【炎星】の必須カードであった「炎舞-「天璣」」の準制限カード化に加え、ギミックの中核パーツであった「立炎星-トウケイ」を失ったことが特に厳しく、アーキタイプとしては相当深刻なダメージを受けてしまっています。単純にパーツが目減りしたことによる安定性の低下は当然として、これまで【3軸炎星】の爆発力に貢献していたいくつかの展開ルートが潰れてしまい、全体的なパワーを一段階落とすことを余儀なくされました。

 一方、【炎星】のもう1つの型である【4軸炎星】にとっては一見それほど大きなダメージではないようにも見えますが、実際にはこちらも苦しい被害です。

 元々のコンセプトが「暗炎星-ユウシ」によるビートダウンにある以上、その始動札とアドバンテージ源を兼ねる「炎舞-「天璣」」の存在は【4軸炎星】の心臓そのものと言ってよく、これが2枚に減ったことは見た目以上に厳しい話でした。例えば「炎舞-「天璣」」から「暗炎星-ユウシ」をサーチした場合、その時点で残りのサーチ回数が1回になってしまうため、実質的には継戦能力が文字通り半減してしまったと言っても過言ではありません。

 もちろん、いずれの型にしてもデッキの構築自体が不可能となったわけではありませんが、少なくともトーナメントシーンにおいては徐々にその存在感を薄れさせていくことになります。

 

【海皇水精鱗】への規制

 【炎星】と同様、【征竜魔導】環境以前に活躍していた【海皇水精鱗】に対して規制が入っています。

 カテゴリ成立当初から【海皇水精鱗】を支え続けた「アビスフィアー」に加え、新規勢でありながら早々にデッキのエースモンスターに収まった「水精鱗-ディニクアビス(エラッタ前)」が制限カード指定を下されています。「アビスフィアー」の方は説明不要のカードですが、水精鱗-ディニクアビス(エラッタ前)」は4ヶ月前に来日したばかりのカードであり、海外環境で実績を残していたことを考慮しても非常に素早い対応です。

 とはいえ、純粋なカードパワーそのものは【海皇水精鱗】の中でもトップクラスの性能を持っているため、規制対象として選ぶには妥当なカードだったことも確かです。むしろこのカードの来日があまり話題にならなかったことがおかしいほどであり、実際のところ【征竜魔導】のインパクトの前に印象が薄れてしまった不遇のカードだったのかもしれません。

 一方で、【海皇水精鱗】自体のデッキパワーはさほど衰えていたわけではなく(※)、改訂後の環境でも引き続き主流デッキの一角として存在感を示していくことになります。

(※むしろ総合的に見れば2012年9月環境の頃よりもデッキパワーそのものは上がっていました)

 

【神風ワンキル】への規制

 先攻1キルデッキの一種である【神風ワンキル】への規制として、「霞の谷の神風」「A・ジェネクス・バードマン」の2枚が制限カード行きとなっています。

自分フィールド上に表側表示で存在する風属性モンスターが手札に戻った場合、自分のデッキからレベル4以下の風属性モンスター1体を特殊召喚する事ができる。
この効果は1ターンに1度しか使用できない。

 実際のところ、【神風ワンキル】そのものは極端に凶悪なデッキというわけではなく、これが当時のトーナメントシーンにおいて何らかの問題を発生させていたわけではありません。しかし、単純に手札2~3枚から先攻ワンキルが狙えるというだけでも危険と言えば危険であり、将来の禍根を断つという意味での規制だったものと思われます。

 これにより、【神風ワンキル】は実質的に構築不可能となったほか、上記2枚をキーカードとする各デッキがこれに巻き込まれて弱体化することになります。

 

「氷結界の龍 トリシューラ」の制限復帰

 禁止カードであった「氷結界の龍 トリシューラ」が制限カードに復帰しています。

 現役時代の頃と比べて全体的にカードパワーがインフレを起こしていたとはいえ、やはり当時においても最強格のシンクロモンスターであったことに変わりはなく、これが制限復帰したことは大きな話題になりました。実際、緩和直後からシンクロ召喚を用いるデッキではエクストラの必須枠に収まっており、時代が進んでもカードパワーが衰えていないことを実績として示しています。

 その後は遠い未来である第10期に至るまで制限カードのポジションにとどまり続けるなど、OCG史上においても長年に渡りパワーカードとして君臨していた存在です。

 

過去のパワーカードの緩和

 「冥府の使者ゴーズ」や「N・グラン・モール」など、過去の環境で猛威を振るったパワーカードが一斉に規制緩和されています。

 かつてはパワーカードとして環境の中心にあった面々ですが、時代の変化により相対的に強さが衰えていたことは否めず、この瞬間をもって遂に仮釈放を迎えた格好です。

 とはいえ、パワーカードとまでは行かずとも優良カードと目されていたことも事実ではあったため、これ以降もしばらくの間は一定の存在感を示していました。実際、環境によってはトーナメントレベルで姿を見かけることもあり、勢いを落としつつも現役時代そのものはまだ続いていたと言えるでしょう。

 その他、「剣闘獣ベストロウリィ」や「黒い旋風」など、カテゴリ単位で暴れ回ったパワーカードの復帰も目を引きます。

 もっとも、流石に全盛期から数年が経過した当時においてはトーナメントレベルのパワーは維持できなくなっており、これによる環境への影響はごく小さなものにとどまっていました。

 

【後編に続く】

 こうしたカードプールの激変により、これ以降のメタゲームも大きく変化していくことになります。

 後編に続きます。

 ここまで目を通していただき、ありがとうございます。