【ジャマキャン】(第3期)の歴史・時代ごとのデッキレシピまとめ
【デッキデータ】
活躍期間 | 2002年11月21日~第3期最後まで |
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脅威度 | メタ内(2002年11月21日~2003年1月1日) |
トップメタ(2003年1月1日~4月24日) | |
メタ内(2003年4月24日~7月17日) | |
メタ外(2003年7月17日~10月15日) | |
メタ内(2003年10月15日~第3期最後まで) | |
主な仮想敵 | 【ギアフリード1キル】(2002年11月21日~2003年1月1日) |
【八汰ロック】(~2003年4月24日) | |
【デビフラ1キル】(~2003年4月24日) | |
【トマハン】(~2003年4月24日) | |
【カオス】(2003年4月24日~7月17日) | |
【サイエンカタパ】(2003年7月17日~) | |
【ノーカオス】(2003年10月15日~) | |
【次元斬】(2004年2月5日~) |
モンスターカード(13枚) | |
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×3枚 | マジック・キャンセラー |
×2枚 | 溶岩魔神ラヴァ・ゴーレム |
×1枚 | キャノン・ソルジャー |
キラー・スネーク(エラッタ前) | |
クリッター(エラッタ前) | |
黒き森のウィッチ(エラッタ前) | |
サイバーポッド | |
ファイバーポッド | |
魔導サイエンティスト | |
メタモルポット | |
魔法カード(6枚) | |
×3枚 | |
×2枚 | |
×1枚 | 苦渋の選択 |
強欲な壺 | |
死者蘇生 | |
手札抹殺 | |
天使の施し | |
早すぎた埋葬 | |
罠カード(21枚) | |
×3枚 | おジャマトリオ |
神の宣告 | |
グラヴィティ・バインド-超重力の網- | |
群雄割拠 | |
拷問車輪 | |
サンダー・ブレイク | |
×2枚 | |
×1枚 | 王宮の勅命(エラッタ前) |
破壊輪(エラッタ前) | |
リビングデッドの呼び声 | |
エクストラデッキ(18枚) | |
×3枚 | アンデット・ウォーリアー |
紅陽鳥 | |
サウザンド・アイズ・サクリファイス | |
デス・デーモン・ドラゴン | |
ドラゴン・ウォリアー | |
魔人 ダーク・バルター | |
×2枚 | |
×1枚 |
【デッキ解説】
【ジャマキャン】は、「おジャマトリオ」と「マジック・キャンセラー」の2枚を主軸に据えたロック系コントロールデッキです。2002年11月21日、レギュラーパック「ガーディアンの力」から「おジャマトリオ」を獲得したことで成立しました。
詳細なデッキコンセプトやデッキ成立の経緯については上記関連記事で解説していますが、一言にまとめれば「魔法カードにメタを張ったデッキ」です。当時現役を務めていた凶悪な魔法カードを封じる戦法を取るとともに、逆に自分は魔法カードをほとんど使わないという特殊な戦い方を取ります。
実際に、上記サンプルレシピでは魔法カードが6枚しか取られていません。必須カードだった「サンダー・ボルト」や「いたずら好きな双子悪魔」などの禁止カード級パワーカードが一切採用されておらず、当時の【グッドスタッフ】の理念から見れば信じがたいリストです。
もちろん、まともに戦えばカードパワー格差に押し潰されるため、コンセプトにあるようにロックを決めることを狙って動きます。
基本的なギミックは以下の通りです。
①:「おジャマトリオ」「グラヴィティ・バインド-超重力の網-」「群雄割拠」などで盤面を硬直させる。
②:「マジック・キャンセラー」によって魔法カードを無力化する。
③:「溶岩魔神ラヴァ・ゴーレム」「拷問車輪」などの継続バーンダメージで勝利する。
①と②を最優先に狙い、③は自然と成立するのを待つという感覚でゲームを進めていくことになります。また、先に「マジック・キャンセラー」だけを立てても簡単に戦闘破壊されてしまうため、モンスターの攻撃を防ぐ手段はあらかじめ用意しておかなければなりません。
最も用意が簡単なのは「グラヴィティ・バインド-超重力の網-」ですが、「おジャマトリオ」と「群雄割拠」が揃った場合は間接的にモンスターの展開・効果も封じることができます。よって「同族感染ウィルス」や「魔導戦士 ブレイカー」などの除去効果持ちモンスターはもちろん、罠系ロックデッキの天敵である「人造人間-サイコ・ショッカー」にも耐性が得られます。
事実上、魔法・モンスターに対して無敵のロックであり、第3期当時のカードプールでは突破は非常に困難です。そのため、罠カードによってロックを抜けるしかありませんが、この時期に使われていた罠カードの除去は「破壊輪(エラッタ前)」「サンダー・ブレイク」程度しか存在しません。
しかも「サンダー・ブレイク」は主に【八汰ロック】で使われていたカードであり、【トマハン】で使われることはほとんどありませんでした。つまり、【トマハン】を使っている場合、1戦目はほぼ突破不可能なロックということになります。
また、【八汰ロック】であっても「サンダー・ブレイク」が3枚フル投入されることは少なく、十分な枚数の除去を確保できていたわけではありません。そもそも単発の除去ではロックを抜けられないケースもあり、やはり一旦ロックが決まった後から活路を見出すのは困難でしょう。
そのため、ロックが成立する前にゲームを終わらせる、もしくはそもそもロックの成立を防ぐといった対策が必要になってきます。
2002年11月
しかし、やや時系列が前後しますが、【ジャマキャン】成立直後の2002年11月21日当時の環境においては【八汰ロック】側がこうした手段を取ることはそれほど困難ではありませんでした。
というのも、当時は「魔導戦士 ブレイカー」「同族感染ウィルス」「魔導サイエンティスト」といった強力なモンスターが軒並み無制限カードであり、ロック成立前にパーツを潰していくことが十分に可能だったからです。
もちろん、流石に完全ロックが決まってしまえば成す術はありませんが、「マジック・キャンセラー」と「グラヴィティ・バインド-超重力の網-」が揃う程度の状況は打破できます。
また、サイド後は「王宮のお触れ」はもちろんのこと、「砂塵の大竜巻」「サンダー・ブレイク」などの除去を積み増しすることも可能です。やや状況を選びますが、「激流葬」などの召喚反応罠カードを取り入れることも考えられます。
ちなみに、「聖なるバリア -ミラーフォース-」は【ジャマキャン】対策としては全く役に立ちません。「因幡之白兎」が使われていた初期型はともかく、後期型の【ジャマキャン】のダメージソースはバーンカードに限られており、わざわざ攻撃宣言をしてくることはまず考えられないからです。
このように、2002年の段階では【ジャマキャン】側としては苦しい状況が続いていましたが、2003年以降は一気に勢力を拡大していくことになります。
2003年1月
2003年1月1日の制限改訂において、仮想敵であった「魔導戦士 ブレイカー」「同族感染ウィルス」の2枚が制限カードに指定されました。これまでのようにあっさりロックを崩されることが減り、大幅にデッキの安定感が上がっています。
さらに、「キラー・スネーク(エラッタ前)」「悪夢の蜃気楼」の2枚も制限カードに指定されたため、【八汰ロック】の回転力そのものが落ちていることも見逃せません。単純にメタカードを引き込まれる確率が下がったほか、全体的にゲームスピードが低下したことも追い風と言える変化でしょう。
また、上記2枚が消えたことで間接的に「サンダー・ブレイク」の採用率も落ち込み、メインからこれに遭遇するケースが大きく減りました。全てにおいて【ジャマキャン】に都合の良い改訂であり、実際に以降の環境ではメタの一角に浮上(※)しています。
(※記事冒頭の解説はこの時期のものを指しています)
しかし、ロックデッキの常としてサイド戦で対策を取られてしまうという弱みを抱えていることも事実です。とりわけ「王宮のお触れ」の存在は致命的と言うほかなく、これ1枚で詰みかねない危険性を孕んでいます。
この【ジャマキャン】最大の弱点を克服するために、【ジャマキャン】愛好家によって様々な対策が練られていくことになりました。
最もオーソドックスな対策は「サイクロン」「砂塵の大竜巻」などの魔法・罠除去、「盗賊の七つ道具」といったカウンターを追加投入するというものでしょう。特に「盗賊の七つ道具」は「サンダー・ブレイク」などの除去を防ぐカードとしても役立ちます。
しかし、これらを積むことで肝心のロック強度が落ちてしまえば本末転倒です。結果として、どちらから見ても中途半端な状態に陥ってしまうなど、ある種のジレンマを抱えることは避けられません。
そのため、そうした素直な回答とは別軸のサイドプランとして、以下のような形式のサイドデッキも考えられます。
サイドデッキ(15枚) | |
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×3枚 | |
×2枚 | デス・ラクーダ |
×1枚 | お注射天使リリー |
同族感染ウィルス | |
ニュート | |
魔導戦士 ブレイカー | |
八汰烏 | |
いたずら好きな双子悪魔 | |
押収 | |
強引な番兵 | |
強奪 | |
心変わり | |
サンダー・ボルト | |
ハーピィの羽根帚 | |
ブラック・ホール |
一見すると意味不明なリストですが、これはアグレッシブ・サイドボーディング戦略によるものです。相手がサイドデッキからメタカードを積んでくることを逆手に取り、デッキからロック要素を取り除いて【グッドスタッフ】にスイッチすることでそれらを腐らせることを狙います。
ただし、枚数的に汎用カード以外の罠カードが8枠残ってしまうため、完全に【グッドスタッフ】に切り替えることはできません。そのため、いくつかの工夫が必要になってきます。
「神の宣告」は3積みで構いませんが、「サンダー・ブレイク」は2枚に抑えるのが無難でしょう。問題は残りの3枠ですが、上記サイドプランでは「グラヴィティ・バインド-超重力の網-」を残す選択を取っていることが分かります。
サイクル・リバースモンスターである「デス・ラクーダ」を2枚取っているなど、攻撃抑制効果とのシナジーを狙ったカード選択です。一方で、デッキコンセプトレベルで依存しているわけではないため、コンボを妨害されてもそれほど苦にはなりません。
場合によっては完全にコンボ要素を取り除き、手札コスト要員と割り切ってしまうことも考えられます。その場合、「デス・ラクーダ」の代わりに追加のアタッカーを投入し、さらに「サンダー・ブレイク」も3枚残すと良いでしょう。
このように、【ジャマキャン】を使う上では様々な工夫が必要となりますが、それに見合うだけの強さはあるデッキです。事実上【メタビート】の開祖とも言える偉大な存在であり、このデッキの誕生がもたらしたメタゲームへの影響は計り知れないものだったのではないでしょうか。
2003年4月
ところが、2003年4月24日にレギュラーパック「混沌を制す者」が販売されたことで状況が大きく動きます。
遊戯王史上最悪の【グッドスタッフ】と悪名高い【カオス】の台頭であり、【ジャマキャン】もその混沌の波に飲み込まれていきました。これまでのデッキとはあまりにもデッキパワーがかけ離れており、まともに立ち向かうのは不可能です。
実際に当時の環境は一瞬で【カオス】一色に染まっていきましたが、辛うじて【ジャマキャン】は生き残っています。元々ビートダウンデッキに強いという特徴を備えていたため、【カオス】相手であっても完全ロックに持ち込めば勝てないことはなかったからです。
とはいえ、【カオス】モンスターの除去効果であっさりロックを崩されることも多く、またそもそもロック成立前にゲームが終わってしまうケースも珍しくありません。実際のところ、このマッチアップで【ジャマキャン】の勝率が5割を上回ることはあり得ないことだったのではないでしょうか。
その後、時間の経過によって強化され続ける【カオス】に引き離されていき、最終的には完全にメタ外へと飛ばされています。たとえビートダウンに耐性を備える【ジャマキャン】であっても、規格外の強さを持つ【カオス】相手では分が悪かったということでしょう。
2003年10月
2003年10月15日、制限改訂によって【カオス】が大きく弱体化し、【ジャマキャン】を含む多数のデッキが環境に復帰しました。
ちなみに、7月に現れていた【サイエンカタパ】もこの規制で一時的に姿を消しています。具体的には11月20日に「天空の聖域」が販売されるまでの1ヶ月強ですが、少なくともつかの間の安寧が訪れていたという意味では意義のある時間だったと言えるでしょう。
(※ここでは【サイエンカタパ】については省きます。詳しくは上記関連記事もしくはデッキ個別ページをご参照ください)
話を戻して【ジャマキャン】ですが、残念ながら前期ほどの勢力は築けなくなっています。というのも、この時期は「第六感」という極悪カードが猛威を振るっており、俗に言う「サイコロゲー」が成立していたからです。
ロックを決める前はもちろん、ロック成立後も大量ドローによって対処札を引き込まれる可能性が生まれてしまい、デッキの安定感そのものが低下しています。なおかつ、ロックデッキである【ジャマキャン】にとっては「第六感」は使いにくく、結果として相対的に大きな不利がついてしまっていたことは否めません。
また、「怒れる類人猿」の参戦も大きな向かい風のひとつです。
「怒れる類人猿」は獣族モンスター、つまり「おジャマトリオ」と「群雄割拠」のロックをすり抜けてしまうため、これまでのように「マジック・キャンセラー」を戦闘破壊から守る手段としては運用が難しくなりました。そのため、完全ロックに持ち込むには「グラヴィティ・バインド-超重力の網-」をも揃える必要性が出てきてしまい、ロック成立までの道のりが大幅に険しくなっています。
とはいえ、やはりロック性能そのものは優秀であり、環境においても一定の勢力を維持していたのは事実です。また、こうした弱体化ばかりではなく、「ボーガニアン」や「リロード」を獲得するなどの上向きの変化もありました。
全盛期に比べれば大人しい活躍ですが、少なくとも環境レベルのデッキパワーは維持していたのではないでしょうか。
2004年3月
その後、2004年3月の制限改訂で禁止カード制度が導入され、当時の環境に激震が走りました。
「サンダー・ボルト」を筆頭とする一部のパワーカードがゲームで使用できなくなり、多くのデッキが構築の見直しを余儀なくされています。【ジャマキャン】は元々魔法カードをほとんど採用しないため、一見すると無関係の話にも思えますが、実際にはこの出来事によって大きなダメージを受けてしまうことになりました。
というのも、魔法カードが減った枠に罠カードが積まれるようになったため、魔法ロック自体の効力が低下してしまったからです。ほとんどのデッキで「激流葬」が標準的に積まれるようになってしまうなど、【ジャマキャン】にとっては非常に苦しい環境と言うほかありません。
何より、これ以降は【ミーネ・ウイルス】が台頭し始める時期であり、その厳しい相性差から一気に環境外へと追いやられています。
【ミーネ・ウイルス】とは一言で言えば「死のデッキ破壊ウイルス(エラッタ前)」を主軸に据えたビート・コントロールデッキですが、非常に残念なことに【ジャマキャン】は「死のデッキ破壊ウイルス(エラッタ前)」に対する回答をほとんど持ち合わせていません。おおよそ「撃たれたら負け」とも言えるマッチアップであり、これまでは難攻不落であったはずの完全ロックすら比較的容易に崩される始末です。
事実上、時代の流れに飲み込まれてしまった形であり、この【ジャマキャン】も第3期終盤にて遂に現役時代を終えることとなりました。
【まとめ】
【ジャマキャン】に関する話は以上となります。
遊戯王史上初となる【ロックバーン】にして【メタビート】の開祖であり、様々な面において遊戯王というカードゲームに影響を与えたデッキです。最後は時代の変化に追いつけず、自然衰退するという結末を迎えてしまいましたが、今なおこのデッキの印象が強く残っているという方も少なくないのではないでしょうか。
ここまで目を通していただき、ありがとうございます。
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