制限改訂2006年9月 カオスソーサラー禁止カード化 【カオス】完全崩壊

2018年11月5日

【前書き】

 【第5期の歴史6 ネクロフェイス誕生 悪用しがいのある面白カード】の続きとなります。ご注意ください。

 「封印の黄金櫃」「ネクロフェイス」という別方面に優秀なカード2種が書籍同梱カードから参入し、メタゲームに少なくない変化が現れました。特に「封印の黄金櫃」は当時としては反則的な性能であり、これにより様々な部分にまで影響が波及していったほどです。

 強力な汎用パワーカードの参戦に環境が揺れ動く中、続く9月に第5期初回となる制限改訂が入ります。

 

制限改訂 2006年9月1日

 2006年9月1日、遊戯王OCGにおいて20回目となる制限改訂が行われました。

 禁止カードに指定されたカードは以下の31枚です。

カオス・ソーサラー 無制限
サウザンド・アイズ・サクリファイス 制限
月読命 制限
王家の神殿(エラッタ前) 制限
強奪 制限
混沌帝龍 -終焉の使者-(エラッタ前) -
カオス・ソルジャー -開闢の使者- -
キラー・スネーク(エラッタ前) -
黒き森のウィッチ(エラッタ前) -
サイバーポッド -
処刑人-マキュラ(エラッタ前) -
同族感染ウィルス -
ファイバーポッド -
魔導サイエンティスト -
八汰烏 -
悪夢の蜃気楼 -
いたずら好きな双子悪魔 -
苦渋の選択 -
強引な番兵 -
強欲な壺 -
心変わり -
サンダー・ボルト -
死者蘇生 -
蝶の短剣-エルマ -
ハーピィの羽根帚 -
ブラック・ホール -
王宮の勅命(エラッタ前) -
現世と冥界の逆転(エラッタ前) -
第六感 -
刻の封印 -
ラストバトル! -

 

 制限カードに指定されたカードは以下の53枚です。

ヴィクトリー・ドラゴン 禁止
聖なる魔術師 準
魂を削る死霊 無制限
森の番人グリーン・バブーン(エラッタ前) 無制限
抹殺の使徒 準
未来融合-フューチャー・フュージョン(エラッタ前) 無制限
グラヴィティ・バインド-超重力の網- 準
血の代償 無制限
破壊輪(エラッタ前) 禁止
異次元の女戦士 -
お注射天使リリー -
クリッター(エラッタ前) -
混沌の黒魔術師(エラッタ前) -
人造人間-サイコ・ショッカー -
神殿を守る者 -
ダンディライオン -
D.D.アサイラント -
ドル・ドラ -
深淵の暗殺者 -
ネフティスの鳳凰神 -
封印されしエクゾディア -
封印されし者の左足 -
封印されし者の左腕 -
封印されし者の右足 -
封印されし者の右腕 -
マシュマロン -
魔導戦士 ブレイカー -
メタモルポット -
闇の仮面 -
黄泉ガエル -
押収 -
大嵐 -
サイクロン -
スケープ・ゴート -
団結の力 -
月の書 -
手札抹殺 -
天使の施し -
貪欲な壺 -
早すぎた埋葬 -
光の護封剣 -
魔導師の力 -
魔法石の採掘 -
突然変異 -
遺言状 -
リミッター解除 -
レベル制限B地区 -
激流葬 -
死のデッキ破壊ウイルス(エラッタ前) -
聖なるバリア -ミラーフォース- -
停戦協定 -
魔法の筒 -
リビングデッドの呼び声 -

 

 準制限カードに指定されたカードは以下の11枚です。

ならず者傭兵部隊 制限
ハリケーン 無制限
光の護封壁 無制限
無謀な欲張り 制限
暗黒のマンティコア -
見習い魔術師 -
強制転移 -
増援 -
成金ゴブリン -
ゴブリンのやりくり上手 -
魔のデッキ破壊ウイルス -

 

 無制限カードに緩和されたカードは以下の4枚です。

魔鏡導士リフレクト・バウンダー 準
非常食 準
ライトニング・ボルテックス 制限
はたき落とし 制限

 

 以上が当時コナミから下された裁断となります。変動は22枚、うち14枚が規制強化、残りの8枚が規制緩和となっており、全体としては規制強化に向かいつつもバランスを取った改訂です。

 

【カオス】系デッキへの規制

 【ダークカオス】【サイカリカオス】などの【カオス】系デッキへの規制として、【カオス】最後の1体である「カオス・ソーサラー」が禁止カードに指定されました。無制限カードから突然の禁止行きであり、開発側がこれを強く危険視していたことが窺える決定となっています。

 最上級カオスには及ばないまでも、「カオス・ソーサラー」もまた当時の基準では凶悪なパワーカードであったことは間違いありません。当時のプレイヤーの間では「光と闇が入るなら必須」とさえ言われていたカードであり、これに対して規制が入ること自体は極めて妥当な話です。

 とはいえ、現実問題として準制限、もしくは制限止まりだろうと予想されていたカードでもあったため、いきなり禁止行きとなったことに衝撃を覚えたプレイヤーは少なくなかったのではないでしょうか。

 

【バブーン】への規制

 次いで規制の対象となったのは、当時主流デッキの一角として存在感を示していた【バブーン】です。

 デッキの中核だった「森の番人グリーン・バブーン(エラッタ前)」が制限カードに指定され、アーキタイプとしては非常に苦しい立場に置かれることになりました。上記の【カオス】とは違い1枚は使用できるため、完全に死滅してしまったわけではありませんが、純構築としてはほぼ解体寸前の状況にまで追い込まれています。

 しかし、「森の番人グリーン・バブーン(エラッタ前)」自体がパワーカードであることに変わりはなく、他デッキへの出張ギミックとして声がかかることはありました。「おろかな埋葬」を含めれば依然4枚体制ではあり、サブギミックとして添えるのであれば十分な作用が期待できたからです。

 その意味では、いわゆる【バブ】系デッキの一種として引き続きメタゲームに居場所を見出していた(※)とも言えます。

(※詳しくは下記記事をご参照ください)

 

【代償ガジェット】への規制

 「血の代償」が無制限カードから制限行きとなり、【ガジェット】の中でも特に【代償ガジェット】と呼ばれる型が大きく弱体化しました。

 当時の【ガジェット】の中でもメジャーなデッキタイプのひとつであり、【ガジェット】の流行以降は常に一定のシェアをキープしていましたが、この時をもって一旦その歴史は途絶えることになります。

 その流行度もさることながら、最も危険視されたのはワンショットキル性能の高さです。状況さえ整えば容易に6000~7000前後のダメージを叩き出せる瞬間火力は当時としては驚異的と言うほかなく、これに対し開発側から対処が入ることはそれほど不自然ではありません。

 もっとも、純正の【ガジェット】にとっては全く関係のない規制でもあり、アーキタイプそのものとしてはほぼノーダメージの改訂だったのではないでしょうか。

 

 当時猛威を振るっていた後攻1キルデッキ【未来オーバー】への圧力として、「未来融合-フューチャー・フュージョン(エラッタ前)」が一気に制限カードまで規制強化されました。

 誕生から僅か3ヶ月強での厳しい規制であり、開発側が【未来オーバー】の存在を強く意識していたことが窺える決定です。同デッキのキーカード「オーバーロード・フュージョン」「キメラテック・オーバー・ドラゴン」については見逃されていますが、上述の通り誕生から間もないことを考慮した改訂であったとも取れます。

 もっとも、【未来オーバー】最大の中核カードは「未来融合-フューチャー・フュージョン(エラッタ前)」であるとされていたため、このカードさえ止めておけば当面は問題ないと判断された可能性もあるでしょう。実際、それは間違いではなく、以降はメタゲームには生き残りつつも勢いをかなり落としています。

 その他、恐らくは別軸からの規制強化として、「ハリケーン」が準制限カードに指定されたことも大きな出来事のひとつです。

 これ自体も悪用方法の多いコンボカードですが、【未来オーバー】においてはワンショット前の露払いカードとして多用されていたため、一応の規制として準制限という決定に向かったものと思われます。

 逆に通常のデッキではあまり採用されないタイプのカードでもあり、多くのデッキにとっては縁の薄い話だったのではないでしょうか。

 

禁止級パワーカードへの規制・緩和

 一方、こちらは多方面に影響の及ぶ改訂として、禁止級パワーカードに対する規制強化・規制緩和も行われています。

 まず、制限カードからの禁止カード行きを宣告されたのは、「強奪」「月読命」「サウザンド・アイズ・サクリファイス」の3枚の凶悪パワーカードです。

 最強のコントロール奪取カード「強奪」は単純にその強さから、「月読命」は圧倒的な汎用性の高さから規制の対象となりました。「サウザンド・アイズ・サクリファイス」についてはやや方向性が異なりますが、「突然変異」とセットで融合デッキの必須枠を務めていたため、むしろ「突然変異」側のカードパワーを調整する意図があったと見るべきでしょう。

 また、直前に現れていた「簡易融合」とのコンボが危険視されていた背景もあり、これ以降は9年以上に渡って禁止カード指定を受け続けることになります。

 逆に禁止カードからの制限復帰を遂げたのは、エンドカードにもなる強力な除去カード「破壊輪(エラッタ前)」です。

 第4期後期頃から禁止カードリストに封印され続けていたカードですが、これ以降の1年間を最後の現役時代として過ごすことになります。通常、バーンカードには厳しい姿勢を取る傾向にある開発側としては異例とも言える決定です。

 時代の流れによって環境が大きく変化していることもあり、パワーカードの復帰による影響をテストする意図があったのかもしれません。

 

汎用パワーカードへの規制・緩和

 上記の面々には及ばないものの、強力なカードとして猛威を振るったカードへの規制も見られます。

 「聖なる魔術師」「抹殺の使徒」の2枚が準制限から、「魂を削る死霊」が無制限から、それぞれ制限カードに規制強化されました。

 いずれも環境での活躍が多かった有用な汎用カードであり、これらが制限カードに指定された影響は決して小さなものではありません。特に「聖なる魔術師」はデッキを選ばない魔法サルベージカードとして広く流行していたため、気軽なサルベージが行えなくなったことで相対的に魔法カードの価値が上昇(※)しています。

(※分かりやすく言えば、「天使の施し」を雑に撃つのは勿体ない、といった価値観が強まりました)

 逆に制限カードからの規制緩和も行われており、「ならず者傭兵部隊」が準制限に、「ライトニング・ボルテックス」に至ってはなんと無制限カードにまで規制が緩められています。

 どちらもかつては強力な汎用除去として環境を席巻したカードですが、時代の変化によって評価も落ち着いてきており、必須カードと呼ばれるほどの存在ではなくなっていました。もちろん、評価を落としつつも除去として優秀なことは変わらず、実際に環境デッキへの採用もあったカードですが、制限カード指定は過剰という判断による緩和だったのではないでしょうか。

 

【ロック】系デッキへの規制

 他方では、【ロック】系デッキに対する圧力も加わっています。

 準制限カードから「グラヴィティ・バインド-超重力の網-」が制限に、無制限カードから「光の護封壁」が準制限に、それぞれ規制が一段階強化されました。いずれも攻撃抑制系のロックカードであり、前改訂の「レベル制限B地区」の制限強化と合わせ、開発側がロックデッキに対して本格的に手を打ってきたことが窺える改訂です。

 元々、ロックデッキはトーナメントレベルではともかく、カジュアル層には嫌われやすい傾向にあり、公式の見解としてフェアデッキの使用を推奨する意図があったのかもしれません。

 こうしたスタンスは長らく動くことはなく、この価値観の変遷にはおよそ2世代もの時間を要することになります。

 

危険度の高いカードへの規制・緩和

 その他、一部の危険なコンボパーツへの規制強化として、遂に「王家の神殿(エラッタ前)」が禁止カードに指定されたことも大きな出来事に数えられます。

 本来はタイムラグのある罠カードを即座に発動可能とするシステムは問題を招きやすく、非常に危険です。こちらは類似カードの「処刑人-マキュラ(エラッタ前)」ほど凶悪な性能ではありませんが、いつ何に悪用されてもおかしくないカードではあり、これに対する規制強化も妥当な変更と言えるでしょう。

 とはいえ、この時期に限れば特に何かのデッキで暴れているということはなかったため、恐らくは後顧の憂いを断つ改訂だったのではないでしょうか。

 また、この影響からか「無謀な欲張り」が制限カードから準制限カードに規制緩和されています。

 かつては【現世と冥界の逆転】などの先攻1キルデッキで悪用されたカードですが、上述の通り「処刑人-マキュラ(エラッタ前)」などを絡めたドロー加速に使われるケースが大半だったため、ここで緩和に向かうのは自然な流れです。

 とはいえ、これ単体でも使い方次第では有用な働きが期待できるカードでもあり、準制限とワンクッション置いた改訂となっています。実際、これ以降の環境では【チェーンバーン】の必須カードとして躍進を遂げることになるため、この慎重な決定は見かけによらず正しいものでした。

 しかし、そうした注意深い判断が成される裏で、なぜか遊戯王史上最悪のモンスター「ヴィクトリー・ドラゴン」が突如制限復帰してしまうなど、一体何を考えているのか全く分からない改訂も見られます。

 第4期終盤環境をマッチキル地獄の入り口にまで導いた極悪カードであり、もう二度と外の空気は吸えないという話になっていたはずですが、開発側としてはそのような認識ではなかった模様です。正しい、正しくない以前にそもそも存在してはならないカードであり、なぜこのような決定に至ったのかは本当に何一つ推測が立ちません。

 一応、ゲーム上の話だけで判断するのであれば、カードプールの変化により【MCV】はもちろん【Vドラコントロール】系デッキの構築は困難になっていたという都合もあります。

 とはいえ、「ヴィクトリー・ドラゴン」の抱える問題は明らかにそういうことではない、というのは多くのプレイヤーが認識するところです。当然ながらこの決定はプレイヤーの間で大きな騒動となり、その結果次回の改訂では再び禁止カード行きを宣告されることになりました。

 今となっては事の真相は不明ですが、たとえ熟考の末の判断であったとしても、「ヴィクトリー・ドラゴン」の規制緩和は根本的に失敗と言える決定だったのではないでしょうか。

 

【後編に続く】

 こうしたカードプールの大変動により、これ以降はメタゲームの勢力図も大きく変化していくことになります。

 後編に続きます。

 ここまで目を通していただき、ありがとうございます。

 

Posted by 遊史