制限改訂2009年3月 【シンクロアンデット】解体宣言

2019年3月19日

【前書き】

 【第6期の歴史16 【旋風BF】全盛期到来 2009年の黒い旋風3積み時代】の続きとなります。ご注意ください。

 「黒い旋風」を筆頭とするサポートを得たことで【BF】が大きく強化され、トーナメントレベルでも通用する強さを身に着けることに成功しました。2009年を代表する有力デッキの一つであり、同年中には世界大会制覇を成し遂げるといった偉大な功績も残したほどの有望株です。

 新勢力台頭の気配にメタゲームが少なからず揺れ動く中、続く3月に2009年環境の流れを決定付ける大規模なカードプール調整が入ることになります。

 

制限改訂 2009年3月1日

 2009年3月1日、遊戯王OCGにおいて25回目となる制限改訂が行われました。

 禁止カードに指定されたカードは以下の42枚です。

ヴィクトリー・ドラゴン -
混沌帝龍 -終焉の使者-(エラッタ前) -
カオス・ソルジャー -開闢の使者- -
キラー・スネーク(エラッタ前) -
黒き森のウィッチ(エラッタ前) -
混沌の黒魔術師(エラッタ前) -
サイバーポッド -
サウザンド・アイズ・サクリファイス -
処刑人-マキュラ(エラッタ前) -
聖なる魔術師 -
月読命 -
D-HERO ディスクガイ(エラッタ前) -
デビル・フランケン -
同族感染ウィルス -
ファイバーポッド -
魔導サイエンティスト -
八汰烏 -
悪夢の蜃気楼 -
いたずら好きな双子悪魔 -
王家の神殿(エラッタ前) -
押収 -
苦渋の選択 -
強引な番兵 -
強奪 -
強欲な壺 -
心変わり -
サンダー・ボルト -
次元融合 -
蝶の短剣-エルマ -
天使の施し -
ハーピィの羽根帚 -
早すぎた埋葬 -
ブラック・ホール -
突然変異 -
遺言状 -
王宮の勅命(エラッタ前) -
現世と冥界の逆転(エラッタ前) -
第六感 -
刻の封印 -
破壊輪(エラッタ前) -
ラストバトル! -
リビングデッドの呼び声 -

 

 制限カードに指定されたカードは以下の60枚です。

カオス・ソーサラー 禁止
剣闘獣ベストロウリィ 無制限
ゴヨウ・ガーディアン(エラッタ前) 無制限
ゾンビキャリア 無制限
ダーク・アームド・ドラゴン 準
氷結界の龍 ブリューナク(エラッタ前) 無制限
馬頭鬼 無制限
緊急テレポート 無制限
生還の宝札 準
増援 無制限
異次元の女戦士 -
E・HERO エアーマン -
カードガンナー -
クリッター(エラッタ前) -
サイバー・ドラゴン -
スナイプストーカー -
魂を削る死霊 -
ダンディライオン -
深淵の暗殺者 -
N・グラン・モール -
封印されしエクゾディア -
封印されし者の左足 -
封印されし者の左腕 -
封印されし者の右足 -
封印されし者の右腕 -
マシュマロン -
魔導戦士 ブレイカー -
冥府の使者ゴーズ -
メタモルポット -
黄泉ガエル -
大嵐 -
オーバーロード・フュージョン -
巨大化 -
高等儀式術 -
サイクロン -
地砕き -
死者蘇生 -
地割れ -
スケープ・ゴート -
洗脳-ブレインコントロール(エラッタ前) -
団結の力 -
手札抹殺 -
ハリケーン -
光の護封剣 -
未来融合-フューチャー・フュージョン(エラッタ前) -
名推理 -
モンスターゲート -
リミッター解除 -
レベル制限B地区 -
異次元からの帰還 -
おジャマトリオ -
グラヴィティ・バインド-超重力の網- -
激流葬 -
死のデッキ破壊ウイルス(エラッタ前) -
聖なるバリア -ミラーフォース- -
ダスト・シュート -
停戦協定 -
転生の予言 -
光の護封壁 -
魔法の筒 -

 

 準制限カードに指定されたカードは以下の17枚です。

ゴブリンゾンビ 無制限
D-HERO ディアボリックガイ 無制限
風帝ライザー 制限
森の番人グリーン・バブーン(エラッタ前) 制限
デステニー・ドロー 無制限
封印の黄金櫃 制限
闇の誘惑 無制限
血の代償 制限
マインドクラッシュ 制限
裁きの龍 -
召喚僧サモンプリースト -
ネクロフェイス -
闇の仮面 -
レスキューキャット(エラッタ前) -
おろかな埋葬 -
連鎖爆撃 -
魔法石の採掘 -

 

 無制限カードに緩和されたカードは以下の5枚です。

暗黒のマンティコア 準
ドル・ドラ 制限
ファントム・オブ・カオス 準
月の書 準
抹殺の使徒 準

 

 以上が当時コナミから下された裁断となります。変動24枚、うち規制強化が13枚、規制緩和が11枚となっており、他の改訂と比べても緩和枚数が多めに取られていることが分かります。

 しかし、当時の環境に対して切り込んだ規制も多く、ゲームバランス調整としては過不足のない内容となっていたのではないでしょうか。

 

6シンクロへの規制

 「氷結界の龍 ブリューナク(エラッタ前)」「ゴヨウ・ガーディアン(エラッタ前)」の2枚が制限カードに指定されています。

 これらは【シンクロ召喚】の導入直後からエクストラの必須枠として環境を荒らし続けており、事実上この2枚以外の6シンクロには全く居場所がないという状況を成立させていました。このようなパワーカードの存在が容認されるはずもなく、無制限から一気に制限行きという厳しめの決定に向かった格好です。

 しかし、この規制により他の6シンクロに目が向くことはなく、これ以降の必須枠も引き続き上記2種に限られるというケースが大半を占めていました。

 これは単純に他の6シンクロとのカードパワー格差が激しすぎたことも原因の一つですが、何よりシンクロモンスターの増加に伴いエクストラの枠争いが激化したことが主な理由として挙げられます。つまり、穴埋め要員にしかならない6シンクロに枠を割くくらいであれば、他のレベル帯を充実させる方が明らかに有用だったからです。

 一方で、流石に制限カードを通り越していきなり禁止カードに指定するのは商業的な都合もあって難しかったためか、しばらくはこうしたエクストラ固定化現象の黙認が続くことになりました。

 

 「ゾンビキャリア」の制限カード化を筆頭に、【シンクロアンデット】に対して厳しい圧力が加わっています。

 「馬頭鬼」が制限カード、「ゴブリンゾンビ」が準制限カードに指定されるなど、これまで【シンクロアンデット】の強さを支えていたカード群が一斉に規制を受けました。特に「馬頭鬼」が制限カードに指定されたことが苦しく、これにより「異次元からの埋葬」の威力を大幅に落としてしまうという事態にも繋がっています。

 また、「生還の宝札」が制限カードに規制強化されたことも大きな痛手です。

 こちらは型によっては不採用というケースもあったカードですが、それでも大抵は必須級と考えられていた重要なキーカードであり、やはり被害としては無視できるものではありません。モンスターと違ってサーチに対応しないという取り回しの難しさもあり、ある意味では最も致命的なダメージに繋がったのではないかという意見も少なくありませんでした。

 その他、【シンクロアンデット】とは無縁の話ですが、この影響で「暗黒のマンティコア」が無制限カードに完全釈放されるといった出来事も起こっています。

 しかし、元々【宝札マンティコア】は随分前から環境レベルでは全く意識されなくなっており、むしろ規制緩和としては遅すぎる話だったため、環境への影響も皆無だったと断言してしまってもいいでしょう。

 

 「D-HERO ディアボリックガイ」が準制限カードに指定されています。

 前回の2008年9月の改訂で無制限カードに規制解除されたばかりでしたが、それ以降は【スーパードローライダー】及び【シンクロアンデット】のキーカードとして暴れ回っていたため、再び準制限カードに逆戻りする形となりました。なおかつ、このことが教訓となったためか以降7年に渡ってその位置にとどまり続けるなど、同名展開系カードとしてはかなり慎重な扱いを受けるに至っています。

 同様に、前回の改訂で規制解除されていた「増援」も逆に制限カードに規制強化されており、さらに現在に至るまで一度もその位置を動いていません。そのため、これらは【スーパードローライダー】を意識した規制であった一方で、実質的には将来的な影響も見据えた長期目線の改訂だったのではないでしょうか。

 他方では、「デステニー・ドロー」「闇の誘惑」などのドローソースに対する規制も目立ちます。

 この時点では準制限カードにとどまっていますが、将来的にはどちらも制限カード時代を経験することになるカードです。

 

【剣闘獣】への規制

 2008年3月以降、長らくメタゲームの一角にあった【剣闘獣】に対する圧力として、「剣闘獣ベストロウリィ」が制限カードに指定されています。

 それ自体が優秀な効果を持ちながら、「剣闘獣ガイザレス」の融合素材でもあるという非常に重要なモンスターであり、当時の【剣闘獣】の中核を担う最大のキーカードと見なされていました。特別な理由がない限りはほぼ確実に3積みされていたと言っても過言ではないため、これに対する規制強化はかなり手痛い被害です。

 一応、【剣闘獣】自体がリクルートに長けたテーマであること、また「剣闘訓練所」という優秀なサーチカードの存在もあり、致命的なダメージには至っていないと見ることもできます。しかし、それでも「奈落の落とし穴」で除外されると「剣闘獣ガイザレス」を召喚できなくなるといった弊害は無視できず、総合的には厳しい弱体化を押し付けられてしまったことは否めません。

 一方で、環境のデフレによる相対的な立場の回復、また【猫剣闘獣】への派生といった選択肢もあったため、今後の環境でも引き続き存在感を示していくことになるアーキタイプです。

 

ダムドへの規制

 「ダーク・アームド・ドラゴン」が制限カードに規制強化されています。

 【シンクロアンデット】や【スーパードローライダー】、【レスキューシンクロ】はもちろんのこと、事によっては【ライトロード】においてすら採用実績を残していたほどのパワーカードです。例外は【剣闘獣】や各種【メタビート】など一部のデッキに限られており、実質的には当時の主要なデッキでは大抵必須カードのように見なされる状況が続いていました。

 こうした「ダムド地獄」とも言える環境が不健全であることは言うまでもなく、ここで制限カードという決定に向かうのは極めて妥当な話でしょう。

 その後は第9期に至るまで制限カードとして時間を過ごし、一時的に準制限カードに規制緩和されたものの直後に再び制限カードに戻され、その後は遠い未来である第10期中頃に至るまでその位置にとどまり続けるという経緯を辿っています。

 

緊急テレポートへの規制

 「緊急テレポート」が制限カードに指定されています。

 参入当初からシンクロ召喚の有力サポートとして注目を集め、特に2008年9月以降の環境ではゲームスピードの高速化もあって【シンクロアンデット】や【スーパードローライダー】を中心に準必須ギミックとして大流行していました。このような汎用的な出張ギミックはデッキの固定化を招いてしまう危険が大きく、そのため間にクッションを挿まない厳しい規制に繋がったのではないでしょうか。

 一方で、これにより【サイキック族】は種族最大の強みとも言えるサポートを欠いてしまうことになり、カジュアルデッキとしても大幅な弱体化を余儀なくされました。

 

過去のパワーカードの規制緩和

 禁止カードだった「カオス・ソーサラー」が制限カードに規制緩和され、2年半ぶりに現役復帰を遂げました。

 かつて環境を支配していたパワーカードが制限復帰したことは大きな騒動となり、当時のプレイヤーからも多大な注目を受けることになっています。流石に以前とはゲームスピードが違うために全盛期ほどの強さは持っていませんでしたが、逆にシンクロ召喚との相性の良さが注目されるなど、過去にはなかった評価点も新たに浮上していました。

 次点で注目を受けていたのは、「封印の黄金櫃」が準制限カードに規制緩和されたことでしょう。

 2006年9月~2007年3月環境で猛威を振るった万能サーチカードですが、流石にこの頃になると2ターンのタイムラグは以前よりも大きなリスクになっていたため、制限カードにしておくほどの脅威ではなくなったと判断されたものと思われます。

 しかし、サーチカードとしての有用性そのものが衰えていたわけではなく、実際にこれ以降の【レスキューシンクロ】では「レスキューキャット(エラッタ前)」を確実に引き込む手段として重宝されることになるカードです。というより、特定のキーカードに依存したデッキでは準必須級のカードと見られていたと言っても過言ではなく、第6期中はもちろん第7期突入後も優良サーチカードとして名を馳せていくことになります。

 その他、「風帝ライザー」や「血の代償」といった往年のパワーカードに対しても規制緩和が入るなど、環境の変化を強く窺わせる調整も随所に見られます。

 特に「血の代償」は将来的に禁止カードになるほどの活躍をするカードですが、この時期に限って言えばパワーカードというほどの高評価は維持できなくなっており、しばらくはマイナーカードとして水面下に潜むことになりました。

 

裁定変更に絡んだ規制緩和

 「森の番人グリーン・バブーン(エラッタ前)」が準制限カードに、「ドル・ドラ」が無制限カードに、それぞれ規制緩和されています。

 これは裁定変更に絡んだ話となっており、実質的にはエラッタを踏まえての規制緩和という扱いでした。具体的には、「ドル・ドラ」の自己再生条件が同名カード全てにかかるようになったため、これまでのようなルール面の不具合が発生しなくなったことによる結果です。

 しかし、「森の番人グリーン・バブーン(エラッタ前)」の方はルール面の不備とはまた方向性が異なっており、なんと自己再生効果がダメージステップには発動できないように変更されてしまっています。つまり効果の発動条件が「破壊された時」から「効果で破壊された時」に突然変わってしまったということであり、ほとんど別のカードになったようなものだったと言っても過言ではありません。

 一体なぜこのような決定が唐突に行われたのかは今となっては不明ですが、元々「森の番人グリーン・バブーン(エラッタ前)」自体が高額カードとして取引されていたという背景もあり、一時期は「環境レベルのカードでも公式の胸三寸でいきなり弱体化エラッタが入る可能性がある」という風潮(※)が広まってしまうことになりました。

(※とはいえ、制限改訂もある意味これと似たような話であり、間もなく話題の熱が冷めてしまった印象はあります)

 

【後編に続く】

 こうしたカードプールの大規模な変動により、これ以降のメタゲームも大きく姿を変えていくことになります。

 後編に続きます。

 ここまで目を通していただき、ありがとうございます。

 

Posted by 遊史