処刑人マキュラ 環境を荒廃させた遊戯王史上最悪のワンキルカード

2018年2月12日

【前書き】

 【第2期の歴史38 ファイバーポッド 狂気のリセット効果】の続きとなります。ご注意ください。

 「八汰烏」や「ラストバトル!」など、遊戯王全体で見ても極めて凶悪な性能を持つカードが現れ、当時の環境は底の見えない暗黒時代に突入していくことになります。続投組の【宝札エクゾディア】【宝札ビッグバン】を合わせて多数の先攻1キルの脅威に晒されることとなり、遊戯王OCGは対人ゲームとしての健全性を著しく損なっていました。

 トーナメントレベルではともかく、一般プレイヤーにとっては勝率どうこうの問題ではありません。「ジャンケンに負けたらそのまま負ける」可能性が存在すること自体が問題であり、「カードゲームでカードゲームが成り立たない」という状況は控えめに申し上げて異常です。

 ただし、数少ない「非先攻1キルデッキ」である【八汰ロック】もそれらとは別方面の狂気を抱えていたことは否定できません。むしろ総合力ではこちらの方が上ですらあり、その安定した強さから大会上位は当デッキで埋め尽くされていたほどです。

 地獄絵図とすら言える光景が広がる中、この状況にとどめを刺すかのようなカードが現れました。

 

【悪用されるために生まれてきたカード達】

 2001年12月20日、「遊戯王デュエルモンスターズ6 エキスパート2」とその攻略本(上巻)が販売されました。ゲーム同梱カード4種類、書籍同梱カード1種類の計5種類の新規カードが誕生し、遊戯王OCG全体のカードプールは1205種類に増加しています。

 ゲーム同梱カードは予約特典1種類、商品同梱3種類の内訳となっており、今作からカードのランダム収録システムが廃止されました。全てのソフトに同じカードが収録されるようになったため、これまでと比べて大幅にカードの入手難易度が下がった形です。

 もちろん、プレイヤーにとっては非常にありがたい変更だったことは言うまでもありません。狙ったカードを確実に入手できるようになったほか、ショップのシングル価格なども比較的安定するようになりました。

 

罠カードを即発動 王家の神殿

 しかし、上記ゲームの攻略本から「王家の神殿(エラッタ前)」という非常に危険なカードが現れていたことには触れておかなければなりません。

このカードのコントローラーは、罠カードをセットしたターンでも発動できる。また、自分のフィールド上のこのカードと「聖獣セルケト」を墓地へ送る事で、手札・デッキ・融合デッキからモンスターカードを1枚選択し、特殊召喚できる。

 罠カードをセットしたターンに発動できる1つ目の効果と、特殊な条件を満たすことで極めて範囲の広いリクルート効果を発動できる2つ目の効果を持っています。メインとなるのは1つ目の効果で、これが張られているだけで通常1ターンのタイムラグが発生する罠カードを即座に使用できるようになってしまいます。

 罠カードに関するルールの一部を破ってしまうカードであり、とりわけ凶悪なのは先攻1ターン目から罠カードを発動できるようになる点でしょう。要するに先攻1キルのお供とも言える存在で、通常はその「遅さ」から採用されない罠カードを先攻1キルギミックに組み込めるようにしてしまうとんでもない問題児です。

 実質的にカードプールを2倍にするようなカードが悪用されないはずがなく、2006年9月禁止カード指定を受けるまでの間、様々な先攻1キルデッキのコンボパーツとして猛威を振るうことになりました。

 しかしながら、この「王家の神殿(エラッタ前)」は誕生当時に限るのであれば、実はそれほど活躍の機会があったわけではありません。この時期はドローソースになりうる罠カードが「強欲な瓶」程度しか存在しておらず、わざわざこのカードを使う意義があるとは言い難い状況だったからです。

 そもそもこのカードを発動する時点でカード1枚分のリソースを失ってしまう関係上、安易に積むだけではむしろ事故要員にしかならないことは否めません。凶悪なカードであることは疑いようもありませんが、正しい使い方をしてこそ真価を発揮するカードとも言えるのではないでしょうか。

 補足となりますが、このカードは2015年に「王家の神殿.」のテキストにエラッタされて制限復帰を果たしています。そちらは罠カードの使用枚数が1ターンに1枚に制限されており、悪用を考えるのが非常に難しくなりました。

 かといって普通に使って強いカードでもなく、それを示すように次の制限改訂では無制限カードへと解放されています。今ではかつての凶悪さは影も形もなく、有り触れたカードの1枚に落ち着いている形です。

 

手札から罠 処刑人マキュラ

 しかし、上記の「王家の神殿(エラッタ前)」の親戚とも言える「処刑人-マキュラ(エラッタ前)」は、今なお多くのプレイヤーに恐れられています。

このカードが墓地へ送られたターン、このカードの持ち主は手札から罠カードを発動する事ができる。

 2001年12月21日、つまり「王家の神殿(エラッタ前)」誕生の次の日にVジャンプの付録カードとして生まれてきたモンスターです。自身が墓地へ送られたターン中、「手札から罠カードを発動する権利」を得られる効果を持っています。

 先に結論を申し上げますが、この「処刑人-マキュラ(エラッタ前)」は数ある禁止カードの中でもトップクラスに凶悪な効果を持った遊戯王史上最悪のモンスターです。第2期当時はもちろんですが、性質上カードプールが広がるほどに悪用方法が加速度的に増加していく(※)タイプのカードでもあるため、これがエラッタなしで現役復帰することは未来永劫あり得ません。

(※パッと思いつくだけでも「終末の騎士」や「聖騎士の追想 イゾルデ」といったカードに悪用されます)

 効果自体は「王家の神殿(エラッタ前)」と似ていますが、こちらは墓地へ送られるだけで、なおかつ効果の発動を伴わずに処理が適用されるという点で凶悪さに拍車がかかっています。単純にリソースを消費しないためデッキの回転を阻害せずに済むほか、レベル4かつ闇属性の戦士族という恵まれすぎたステータスを備えていることも大きな強みと言えるでしょう。

 「王家の神殿(エラッタ前)」と比べて遥かに悪用しやすいことは言うまでもなく、ありとあらゆる先攻1キルデッキで脅威を振り撒いていたと言っても過言ではないカードです。規制に時間のかかった「王家の神殿(エラッタ前)」と違い、誕生から数ヶ月で規制されていることからもその凶悪さが窺えます。

 

【マキュラ】系の先攻ワンキルデッキまとめ

 参考までに、現役時代の「処刑人-マキュラ(エラッタ前)」が生み出した主な先攻ワンキルデッキの一覧(※)を下記に示します。

(※デッキレシピなどの詳しい情報はリンク先にまとめてあります)

 

【現世と冥界の逆転】 2001年12月~
※当記事の次項参照。
【宝札エクゾディア】 2002年3月~
【第2期の歴史28 生還の宝札 無限ドローとエクゾディアの蜜月関係】
【マキュラエクゾ】 2002年3月~
※【宝札エクゾ】からの派生。
【デッキ破壊1キル】 2003年10月~
項目リンク 【デッキ破壊1キル】の成立【第3期の歴史27】
【サイエンカタパ】 2003年10月~
【第3期の歴史8 魔導サイエンティスト 1枚で環境を壊したカード】
※最終的にはデッキから抜けている。
【深淵1キル】 2004年8月~
【第3期の歴史34 深淵の暗殺者 無限の手札コストと【深淵1キル】の成立】
※【チックワンキル】との複合タイプ。厳密にはコントロールデッキの一種。

 

 いずれも環境レベルの実績を残した凶悪なワンキル系デッキ(※)であり、特に次項で取り上げている【現世と冥界の逆転】【八汰ロック】などを差し置いて第2期終盤環境を荒廃させたほどの怪物です。

(※もちろん、環境外のデッキも含めれば上記以外にも多数の【マキュラ】系デッキが存在します)

 その結果、当然の如く次回改訂では「処刑人-マキュラ(エラッタ前)」が規制されていますが、上記の通り制限カードに指定された後も数々の先攻1キルデッキで猛威を振るい続けたため、最終的には2005年3月の改訂で禁止カード指定を下されました。以降は一度も現役復帰を遂げておらず、今後もエラッタなしでの規制緩和はまずあり得ないと断言していいカードです。

 このように、「処刑人-マキュラ(エラッタ前)」は現役時代はもちろんのこと、現在でも「苦渋の選択」に並ぶ遊戯王最凶クラスのカードとして悪名を轟かせており、まさしくOCG初期の混沌を象徴するにふさわしい存在なのではないでしょうか。

 

現世と冥界の逆転 最も凶悪なデッキ破壊コンボ

 では、そんな処刑人-マキュラ(エラッタ前)」が無制限カードだった第2期終盤の環境は果たしてどんなものだったのでしょうか?

 これに関しては議論の余地なく、まさに「先攻1キル地獄」としか言いようがない暗黒期が広がっていました。

 上記の「処刑人-マキュラ(エラッタ前)」誕生の1週間後の12月28日、週刊少年ジャンプから遂に「現世と冥界の逆転(エラッタ前)」が現れることになります。

自分の墓地にカードが15枚以上ある時、1000ライフを払い発動。お互いに自分の墓地と自分のデッキのカードを全て入れ替える。その際、墓地のカードはシャッフルしてデッキゾーンにセットする。

 墓地とデッキのカードをそのまま交換してしまうという、遊戯王全体を見渡しても類のない効果を与えられたカードです。通常の墓地送りとも処理が異なるため、この効果で墓地に行ったカードは「墓地へ送られた場合に発動する効果」を発動できないという特徴もあります。

 極めて異質な効果を持っていること、また発動条件として「自分の墓地にカードが15枚以上存在すること」を要求される都合上、普通のデッキに入るタイプのカードではありません。必然的にこのカードを使う場合は専用デッキを用意することになりますが、そうするだけの価値は十分にあります。

 相手の墓地が0枚の状態でこのカードを発動した場合、相手のデッキが0枚になるからです。

 もちろん、相手は次のドローフェイズにカードを引けず、即敗北となります。これこそが「現世と冥界の逆転(エラッタ前)」が最強のデッキ破壊カードと恐れられていた理由であり、これに特化したデッキとして【現世と冥界の逆転】が成立することになりました。特定の状況を作り上げることで勝利が確定するため、事実上の特殊勝利カードとも言える存在です。

 相手の墓地が空の状態でなければ成功しないというのは一見不安定に思えますが、ゲーム序盤、具体的には先攻1ターン目は確実に相手の墓地が存在しないため、見た目ほど達成は難しくありません。また、多少墓地にカードが残っていても「手札抹殺」などを駆使すれば削り切れる以上、明確な欠点として取り上げる必要はないでしょう。

 ただし、「現世と冥界の逆転(エラッタ前)」は罠カードゆえにタイムラグがあり、通常は相手ターンのドローフェイズ後にしか発動できない欠点があるのは事実です。その場合でもデッキを0枚にできれば大抵勝利が確定しますが、相手に1ターンの猶予を与えてしまうほか、特にデッキを数枚残してしまっているケースでは逆転を許してしまうリスクがあります。

 その対策として浮上したのが上記の「処刑人-マキュラ(エラッタ前)」でした。

 これと組み合わせることで「現世と冥界の逆転(エラッタ前)」を先攻1ターン目に発動できるようになるため、上記のような僅かな隙を潰すことが可能です。元々「処刑人-マキュラ(エラッタ前)」自体が先攻1キルギミックと相性が良かった都合もあり、それほど間を置かずに必須カードとしての地位を確立していきました。

 結論としましては、この「現世と冥界の逆転(エラッタ前)」、ひいては【現世と冥界の逆転】もまた暗黒期指定がふさわしい存在であることは疑いようもありません。他の先攻1キルデッキと比べて成立条件が緩く、高い安定性を誇るというのも凶悪さを後押ししています。

 また、この時期が全盛期であったわけではなく、2002年3月21日に「Pharaonic Guardian -王家の守護者-」から「無謀な欲張り」や「太陽の書」を獲得して圧倒的な強さを手にすることになります。その勢いは凄まじく、【八汰ロック】含めて同じ暗黒期デッキを駆逐してしまったほどです。

 流石にそうした状況が見過ごされるはずもなく、第2期最後となる2002年5月1日の改訂で「現世と冥界の逆転(エラッタ前)」と「処刑人-マキュラ(エラッタ前)」が制限カードに指定されています。

 しかし、上述のようにそれ以降も形を変えて環境で猛威を振るい続けたため、結局のところ「処刑人-マキュラ(エラッタ前)」の完全な沈黙には禁止カード指定を待つしかありませんでした。

 

遊戯王唯一 ゼロターンキル【現冥マキュラ】の概念

 その他、上記の「現冥マキュラ」が絡んだ際に発生する概念として、例外的に「ゼロターンキル」と呼ばれる特殊な事象についても触れておきます。

 恐らく最も典型的なシチュエーションは下記のようなパターンでしょう。

 

①:相手の使用する「メタモルポット」「サイバーポッド」「手札抹殺」などにより、自分の「処刑人-マキュラ(エラッタ前)」が墓地に落ちる。

 

②:相手の「現世と冥界の逆転(エラッタ前)」によってお互いのデッキと墓地が入れ替わる。

 

③:相手が「手札抹殺」によってデッキデスを狙ってくるため、それにチェーンして自分も「現世と冥界の逆転(エラッタ前)」を発動する。

 

④:チェーンの逆順処理によって「手札抹殺」の解決前にデッキ枚数が再び入れ替わり、そのまま相手が自滅する。

 

 【現世と冥界の逆転】同士のミラーマッチにおいて起こり得る状況であり、自分のターンが回ってくる前にゲームに勝利することからそのように呼ばれます。一応、現在では「先攻展開に失敗した対戦相手のサレンダーによる勝利(※)」をこのように呼ぶケースもありますが、これは厳密には普通にビートダウンされて敗北することをサレンダーで省略した結果に過ぎないため、本当の意味でゲームが終わってしまう上記のケースとは完全に隔絶した話です。

(※相手の「増殖するG」を逆利用してのデッキデスが失敗したケースなどが該当します)

 詳しくはデッキ個別ページで解説していますが、【現世と冥界の逆転】は一旦デッキが回り始めればお互いの手札枚数が10枚~20枚に膨れ上がるほどの絶大な回転力を備えています。よってデッキも残り数枚まで掘り尽くすパターンが大半を占めるため、ほとんどの場合「手札抹殺」の自滅から逃れる術はありません。

 これが俗に「現冥返し」と呼ばれる現象であり、分かりやすく言い直せば「相手の先攻1キルを自分の後攻0キルで上書きする」という意味不明なやり取りを指します。このような理解の範疇を超えた現象を引き起こすカードは遊戯王でも一握りであり、「ヴィクトリー・ドラゴン」と同様に存在するだけで世界を歪ませるレベルのカードです。

 とはいえ、これは「処刑人-マキュラ(エラッタ前)」と「現世と冥界の逆転(エラッタ前)」という遊戯王屈指の極悪カード2枚が手を組んだ時にのみ発生する現象でもあるため、総合的には単体でこの領域に踏み込んでくる「ヴィクトリー・ドラゴン」の方が遥かに凶悪なのではないでしょうか。

 

まさかの制限復帰 弱体化エラッタによる釈放

 そんな「処刑人-マキュラ(エラッタ前)」というカードですが、第10期終盤にあたる2020年4月改訂においてまさかの制限復帰を遂げることになります。

 これは開発側が突然錯乱しておかしくなったというわけではなく、いわゆる弱体化エラッタを踏まえての釈放です。

このカード名の効果は1ターンに1度しか使用できない。
①:このカードがモンスターゾーンから墓地へ送られた場合に発動できる。このターンに1度だけ、自分は罠カードを手札から発動できる。

 効果の発動条件がモンスターゾーンから墓地へ送られた場合のみに限定され、さらには使用できる罠カードも1枚までになっているなど、エラッタ前とは比べ物にならないほど大幅に弱体化しています。先述の通りサーチやリクルートに対応するため活用手段そのものは豊富ですが、これまでのように1枚でゲームを終わらせる絶対の処刑能力は喪失してしまったと言わざるを得ません。

 とはいえ、角度を変えれば処刑人-マキュラ(エラッタ前)」というカードは遊戯王というカードゲームから永久に存在を抹消されたということでもあり、結局のところ「処刑人-マキュラ(エラッタ前)」の狂気をプレイヤーが忘れ去ることは永遠にないのかもしれません。

 

【当時の環境 2001年12月28日】

 「処刑人-マキュラ(エラッタ前)」と「現世と冥界の逆転(エラッタ前)」という凶悪カードが立て続けに現れ、【現世と冥界の逆転】として環境の一角に躍り出ました。上述の通り先攻1キルデッキであり、暗黒期指定がふさわしい存在です。

 これにより当時の遊戯王OCGは【八汰ロック】【宝札エクゾディア】【宝札ビッグバン】【ラストバトル!】【現世と冥界の逆転】の5デッキに支配される格好となり、それぞれがお互いを食い合う壮絶な環境が訪れています。とはいえ、整理して考えれば【八汰ロック】か【先攻1キル】のどちらかという状況であり、事実上は2強環境と言えないこともありません。

 【八汰ロック】側は後攻時の場合、【先攻1キル】側の先攻1キルに対処できず、不利となります。失敗するケースもあるため全く勝てないわけではありませんが、勝因はほぼ相手の事故によるところとなるでしょう。

 ただし、【先攻1キル】側も後攻時はハンデスやカウンターなどで妨害を受けることになる都合上、先攻時と比べて勝利までのハードルが上がってしまうことは否めません。どちらのデッキもジャンケンの勝ち負けで大きく勝率が変化してしまうため、総合的には痛み分けという状況です。

 よって、最終的な評価項目はデッキの安定性に行き着く形となりますが、その領分においては【グッドスタッフ】を下敷きとする【八汰ロック】が大きくリードしています。つまり総合力ではやはり【八汰ロック】が最も強く、環境の勢力図もそれほど大きくは動いていません。

 結論としましては、この時点に限って言えば【現世と冥界の逆転】参戦の影響は【八汰ロック】の牙城を打ち崩すほどではなかったという印象です。もちろん、【現世と冥界の逆転】が脅威にならなかったわけではありませんが、無謀な欲張り」などの重要なデッキパーツが揃い切っていなかった都合もあり、年内~2002年初頭の間は他の先攻1キルデッキに埋もれている状況だったと言えるでしょう。

 いずれにしても末期的な環境が訪れていることには変わりなく、当時の遊戯王OCGは否定の余地すらない暗黒時代へと突入していきました。

 

【まとめ】

 2001年12月中の出来事については以上です。もはや語る口もないような惨状であり、カードゲームとしての健全な姿は完全に喪失してしまっていると言うほかありません。

 ちなみに、上記の「現世と冥界の逆転.」は現在ではエラッタが入って弱体化しており、発動条件に相手の墓地の枚数も含まれるように変更が加えられています。カードの発動自体の難易度が上がったほか、発動後も即勝利には繋がらないなど、複数の調整が施されている格好です。

 この状態でも「轟雷帝ザボルグ」と組み合わせるなどして現役時代の光景を再現できないわけではありませんが、実用性はなく、あくまでもファンデッキレベルの話です。とはいえ、効果の独創性自体は健在であり、むしろカードパワーの調整が図られたことで趣深いコンボ系カードに生まれ変わったと言えるのかもしれません。

 また、遊戯王OCGにおける2001年代の出来事はこれが最後となります。前年と違い、まともなゲームが成り立たないほどの無茶苦茶な環境が到来しており、【エクゾディア】(第1期)全盛期に匹敵する地獄絵図が広がっていました。

 ここまで目を通していただき、ありがとうございます。

 

Posted by 遊史